念願かなってピータードイグ展にいけました!

レポ漫画

緊急事態宣言が解除され、公開中止をしていたピータードイグ展をみに東京国立近代美術館に行ってきたらめちゃくちゃ最高だったという話です。漫画4pです。

私はピータードイグの絵が大好きです。以前も日記に書いたのですが、

こんな感じの経緯になっています。

大学の図書館で画集をディグりまくり、大好きな画家を何名か見つけたのですが、どの方もあまり日本に作品のない作家ばかりだったのですが、最近個展が開催されるようになってきました!

ピータードイグはずっと自身の製作現場に画集の印刷物を持ち込み、眺めながら制作しているほど好きだったので、憧れの存在だったのです。

そんな彼の個展!そりゃ絶対行くよ!と思っていた矢先に、緊急事態宣言!

紆余曲折ありの解除!再開!そして会期延長!

東京国立近代美術館さんほんとうにありがとうございます…。

チケットが日時指定制になっていたので、速攻で初日をおさえました。うれしい。

そんなわけで感想を書いていきたいと思います。

時間がかかりそうなので、先に漫画だけ公開して、後ほどブログを追記したらお知らせしようと思います。どうぞよろしくお願いします。

ピータードイグ展で私が感じたこと

絶対に生で見ないとダメな作品だと身をもって理解しました。

私の美術館での鑑賞は、まず全体を見て、印象を体全体で味わって、自由に連想して、満足したら近づいて画面を見て、どんな色の絵具がどんなふうに使われっているかをみて、そこから作者のねらいや引用元を想像して、最後に好きな絵はもう一回全体を気が済むまで眺めて終わる、といった感じです。

今回のピータードイグ展では、点数はそれほど多くないものの、大型の作品にふさわしくゆったりと展示されていました。

展示の流れや順路を示さず自由にみて回れる形式がすごく嬉しかったです。

私は平日の昼間に行ったのですが、それなりに人がいて、本展覧会への関心の高さを感じました。
少ない時は本当に貸切みたいにみれちゃいますからね。見る側としては理想ですが、いい作品をたくさんの人に見てもらいたいという気持ちでは、今回のようにいっぱい人が来ているのを見るとすごく嬉しいし安心します。

写真も撮っていいっていうのがすごく嬉しいですね。こちらでも公開させてもらいます。

私が一番好きだった絵です。美しい緑。手前の茶色は絵の具が固めに持ってあり、抵抗感のある画肌でした。とろけるような絵の具のうごきが本当に美しい…。遠景の木はキャンバスの色が残っており、ぬけ感が気持ちよかったです。でもめちゃくちゃ手がはいってた…。

ドイグはこのような3分割の画面を好んで用いていたようです。また、このボートは13日の金曜日から引用したイメージのようです。

ドイグの作品には必ず景色と人が出てくる印象です。ただの自然ではなく、人のいる風景である点も、私が好きなポイントです。具象に寄せるのではなく、現実とは違う描写や、抵抗感のある画肌にすることで、フィルターのかかったような印象を受けます。それが、あるがままを描くのではなく、人間・作者を通した風景であることをより印象づけています。

ゲレンデの風景です。小さく人が描かれた絵画。こちらも画肌は様々な工夫がこらされていました。黒の中に、浮き上がる艶消しの顔料?木炭?のようなものが載っている部分があったんですが、あれは一体どう処理をしているのだろう…ものすごくいい味を出していました…。テレピン多めで顔料系の絵具を上から重ね掛けした時に似たような現象があった気がするのですが、もう昔の事過ぎてはっきり思い出せません。

今見ていて思い出したのですが、現代美術の作品で、ゲレンデをもした絵画に、建築模型に使われる人のミニチュアを配置し、それを溶かしていく?みたいな作品があったのですが、あれは誰の作品だったのか…。あいちトリエンナーレで見た気がします。8年くらい前かな?あの作者さんも、ドイグ好きなのかなってふと思いました。

この作品も大好きで、印刷して持ってました。水面の表現、背景の表現、どちらも超絶技巧でした…。我が目を疑いっぱなしです。また見たくなってきた。またいきたい…。
この作品に限らず、ドイグの作品は主題が好きです。風景の中の人物は、鑑賞者と視線を合わせることがほとんどなく、どこか内省的な雰囲気を感じます。この作品の人物は、水鏡に写された自分を見つめながら、客観性を失っていない印象があるとキャプションに書かれていました。
人間を扱いながらも、その人間に対してどこかよそよそしい、そんなところが私は好きです。

まさに夢の中のような作品です。実際にいろんな景色や写真を組み合わせてできているそうで、そのちぐはぐさがとても心地いいです。インパクトのある配色の人物や石垣が、華やかですごくおしゃれです。それをまとめる遠景、近景の青い色合いも、絵具の濃度や質感が異なっていながら、上手く纏まっていて凄いと思いました。私は絵の具の扱いが苦手で、こんなふうにできる人がいることが信じられなくらいです。絵具を垂らしたり、キャンバスに染み込ませるような描写をしたりと、偶発的な表現もいっぱいあったのですが、どれもあらかじめ計画されていたもののようにピシッとはまっています。本当にすごかった…。

めっちゃマティスっぽい!とおもったらやっぱり引用されていた。すごいしゃれているし、引用の精度が高く、その上で自分の表現も自然に重ねていて、こんなことあるのか??と思いました。かっこいいな〜。大好きです。賢くないと作れなさそうな画面。

ピータードイグの作品を見ていて、最初に感嘆したのは画肌の多彩さでしたが、次に気づいたのは構図のよさでした。緊張感のある構図ですね…。私は構図も苦手です。映画をたくさん見ているらしいのですが、映画好きな画家は構図が上手いような気がします。水の出るあれ、日本にはないやつの周辺が、デ・キリコの絵画を想起させました。色合いと陰影の入れ方が似てる気がします。

この絵が一番大きかったのかな?そんな印象があります。事実とは異なるかもしれませんが。

色、よすぎでは?すこしぬけた感じのある構図に、少し子供っぽい色合いがものすごくあってると思いました。ブルーナカラーっぽさがあります。この時期の絵画は、描かれた生物のまわりに回転するような筆の跡が残っているものがあり、フランシス・ベーコンを思い出しました。この作品ではライオンの頭部にそんな印象がありました。ライオンめちゃくちゃいいです。
左側の色のあせた?絵の具の乗っていない人物が好きもずっと見てました。

これはピータードイグの作品ではないです。杉戸洋さんという、日本の現代美術作家です。私はこの人の作品も大好きで、ずーーっとながめていられるのですが、ドイグと同じにおいがします。

どちらも夢の中のような景色で、ほんの少し人の匂いがして、画肌がめちゃくちゃ凝っていて、うっとりするような色合いです。

なんと!東京国立近代美術館に新しく所蔵されたということで!展示をされていたのです!めちゃくちゃ嬉しい!愛知に住んでいた頃は、杉戸さんが愛知で活動されていた作家であったので、頻繁に作品を見かけることができたんですが、東京では見かける回数が減っていたので、本当に嬉しいです。(こないだ東京都美術館で個展をされており、味わいつくさせてもらいましたが)

しかも、杉戸さんのこの作品は、ドイグの作品の特徴である、具象と抽象の狭間で揺れる美術作品をテーマにした常設展で展示されていたので、ぼんやり感じていた共通点がはっきりした感じで嬉しかったです。

あと新しい所蔵に、ゲルハルト・リヒターのフォトペインティングが入ってました!写真は取り損なったのですが、20号くらいの山の風景で、すごく綺麗でした。
リヒターのフォトペインティングも、具象と抽象の狭間って感じで大好きなのです。

東京国立近代美術館は、常設展もすばらしいので是非見て欲しいです。重要文化財クラスの美術の教科書に載ってるような作品がバンバン展示されてますし、なぜか人が少ないので落ち着いてみることができます。企画もいつも面白いので本当に楽しめます。

常設展で、桜をテーマにした展示室がありました。コロナの影響で春はあまり展示できなかったものを延長しているのかな。

そこで、大きな屏風を見て、ドイグとの共通点をみつけましたよ〜。

どちらもめちゃくちゃ絵がでかいです。眼前に立ちはだかるので、絵の中に入り込むような感じがします。
屏風は空間をしきりながらも、窓のように季節感を感じることができます。そのときには大きさがなければ、実際に景色を見ているような没入感は得られません。(例外はあります。)

ドイグの作品にも物凄い没入感がありました。大きな窓の先に、夢の世界が広がっています。

もしかして、どっちも、ドラえもんのどこでもドアみたいに、どこでも窓って感じなんじゃないかなって思いました。
異世界への入り口です。作品を眺める間、私の精神は確かに旅をしていました…。

そんなこんなで濃密な時間を過ごさせていただき、ほんとうに行ってよかった展覧会です。もう一回行こうかなと思うのは珍しいんですが、あと3回くらいはいきたいと思ってます。

興味を持たれた方はぜひ。めったにない機会ですよ!


タイトルとURLをコピーしました