お久しぶりです。すっかりやる気をなくして本も全く読まない日々を過ごしていました。積読消化キャンペーン第4弾です。
今回読了したのは布施英利著『子どもに伝える美術解剖学: 目と脳をみがく絵画教室』 (ちくま文庫) です。
見づらい!!ごめんなさい。メインとなる小学校美術教育の実践内容をイラストでまとめました。小学校は本来図工ですけど。
さらに見づらい。感想文がどうしてもかけなくて、手元にあった紙とペンでガーッと書いたものです。誤字ご容赦ください。
『能の右側で描け』という名著があり、昔に何度か読み返しました。全然絵が描けないと思っている人でも、対象の見方を変えるだけで格段に写実らしく描くことができるようになるという実験の結果をまとめた本です。
私たちの目はそのままの世界を見ているわけではなく、生命維持用のフィルターや興味のフィルターを通して世界を見ています。簡単にいうと(無意識の)「思い込み」なんですが、思い込みの状態で描く絵はどれも似たような、記号化されたものになっていると思います。そのフィルターをなるべく見ずに(あるいは意図的にかけて)描くことでこれまで描いていた記号的な絵とは異なる作品が描けるようになります。
『子どもに伝える美術解剖学』にはそういった技能的な問題に加えて、主題(テーマ)を決めた上で描かせるという点がとてもいいと感じました。自然をじっくりと観察する経験があまりなかった子どもたちを池に連れて行き、釣りをさせる。そして解剖をさせたのち、もう一度何も見ないで描かせる。そうすることで、最初に描いた一枚とは全く違った作品が生まれる。
そんな授業受けたかったわ〜面白そ〜というような内容でした。教育現場で実際にこれができるかといえば、引率の問題とかもあり日常的には難しいと思います。しかし応用は効くのではないでしょうか。
教科間の連携が重要になるって話を聞いたことありますが、教科横断的な学習ってのは本当に有効なんじゃないかな。それを現場でできる時間的精神的余裕が今の学校に無いことはとても残念ですが。
授業実践も面白いんですが、そのあとの絵画論も面白かったです。目と脳を磨く絵画教室とサブタイトルで入っているように、目や脳に関することが多かったです。
私が一番印象に残ったのは、心は脳でなく内臓にあると書かれていた部分です。その感覚はよく味わったことがあるのですが、言語化されるとすごく新鮮で驚きました。
この本に書かれていることが絶対だとは思いませんが、一読の価値はあると思います。(個人的には生き生きした作品がいい作品だと決めてかかってる感じがして、そこが少し引っかかりました。その人が好きな作品はどんなものであっても肯定されるべきだと思います。)
おもしろかったです。